自民党は今回、選挙戦において安倍首相の演説日程を積極的にはPRしなかった。抗議活動を避ける狙いがあるとみられる。
とはいえ、秋葉原での演説は「安倍首相にとっても聖地」(自民党関係者)だ。最終日にマイクを握ることは決まっていた。
大量の警察官や民間警備員が配置された秋葉原駅西口は、夕方から厳戒態勢だった。駅前では大量の日の丸が配られ、拍手があがるたびに支持者らが旗を振っていた。麻生副首相の演説がはじまると、会場から「安倍やめろ」とコールがあがり、支持者と衝突した。
反対派の人たちが警察官に排除されかけ、押し問答を繰り返す場面もあった。
札幌で安倍首相の演説中に「安倍やめろ」とコールした男性が排除されたこともあり、警察官に「なぜ排除するんだ」「表現の自由」などと声をあげる人たちもいた。
「安倍やめろ」コールを挙げていたアルバイトの男性(45)は「街頭演説会に来るのは初めて」と話す。
「政権は憲法9条改正を掲げたり、共謀罪を作ったり、民主主義を壊そうとしている。こうして演説会や集会で声を上げて、市民の声を届けることは意味があると思う」
反対の声をあげる人たちが横断幕を取り付けた風船を掲げようとした際、自民党支持者が赤いのぼりで遮ろうとした。その後、風船が割られていた。
一方、「安倍やめろ」コールに対抗した人たちは「安倍がんばれ」などと声をあげていた。
「演説が聞こえないだろ」という声もあった。「演説が聞きたい」「静かに」という垂れ幕を掲げる人たちも。
会社員の男性(58)は反対派が集まっていた場所から少し離れた所にいたが、雑音で演説が聞こえないと抗議しにきた。
「選挙の演説を聞きに来たのに全然聞こえない。反対は反対でいいけれど、一度静かに話を聞いてから反対をすればいいのに。いち有権者として、怒りを感じました」
一方、少し離れたところではそうした衝突の声は聞こえず、演説をスマホに収めようとする人たちが多くいた。歩道橋の上にも多くの支持者たちの姿が。「自民党ばんざい」と叫ぶ男性もいた。
そうした空気とは裏腹に、素通りする人も少なくなかった。首相らが車に乗り込んで去ると、しばらくして人並みも消えた。人のいなくなった会場には、日の丸が落ちていた。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース